『イロモノなアタシⅡ 小鬼更正計画』
読み終えたあたしは、胸の中で突っ込む。


『ハリウッドスターか、こいつら! 』と。


特に、呼び出しがあった場合、いつでも応じる事なんて……。


24時間、あの2人に張り付いていなくてはいけないじゃないか。


誰がここまで彼らをテングにしているんだろうと、1人腹を立てていると、部長が一枚のCDを差し出して来た。


「これ、あの子達のデビューシングル。出来立てやで」
「はぁ? 」
「まだ分からんのかいな? ウチは、アイドル芸人としてあの子らを売り出すつもりなんや」


何ですかそれは!


まさか、芸能界大手の『ジャッキーズ事務所』に対抗しようというのか。


まあ、ルックス的にはアイドルだし……。


「それから、東京進出のスケジュールについて、後で申し渡しがあるよって」
「東京進出って、もう確定なんですか? 」
「当然やがな、何にも無いのにCDなんか出させるかいな。向こうに行ったら、もう1人付けてもらうさかいに、それまで辛抱しいや」


それはそれで助かるけど、これからあたしも超多忙になるだろう。


気づけば午後3時、そろそろ学校へお出迎えに行かなくては。


再び社用車を借り、出て行こうとするあたしの背中に部長がまた声を掛ける。


「車はずっとかっとって(借りて)エエぞ、駐車場あるやろ、自分のマンションに」
「ありますけど……」
「駐車場料金、会社に請求するし。ま、頑張り」
「はい」



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