『イロモノなアタシⅡ 小鬼更正計画』
「高校の中で、体育の授業の時にダンスがあったんですわ」
「あーあれな、自分の好きなん踊れちゅうヤツ」
「もう凄いでー事務所と力関係を超えた大ライブ大会」


秀一郎が自分達の曲を歌いながら踊り出すと、手拍子が聞えた。


よし、観客のハートはつかんだぞ。


「自分、自慢しぃやな」
「せやかて、売れてるし。チャート1位にもなったで」
「1週だけやろが、すぐ次の週に同じクラスのジャッキーズに抜かれてんど」
「歌まで売れたらイヤミやん、イジメにあうわ。ただでさえ、大阪弁抜けへんのに」


ドッと笑い声。


万里也、いや、摩理依は目を輝かせる。


自分達の力で、会場があたたまっていると実感したからだろう。


「大阪弁抜けへんのが悪いんか? 今すぐ謝れや! 881万7010人に」
「お前賢なったな、あ、席遠くなったしカンニングでけへんからか」
「違うわっ! そん位、大阪府民やったら知ってるがな」
「自分、ハーフやんか。そんで大阪府民名乗るんは、おかしいで」


逆ツッコミ成功、ゲラゲラ笑っている人も出た。


「ハーフかて、オカンもオトンも大阪やん」
「お祖父ちゃんはドコやねん? 」
「アメリカ……」
「ほれ見ぃ、大阪違うやろが」


制限時間は5分、もう後2分しかない。


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