『イロモノなアタシⅡ 小鬼更正計画』
ヒロセさんは笑い出す、それもスで。


つられて観客も。


「最悪でしょ、そんな男」
「見た目は男前やねん、元ホストやったし」
「どこで知り合ったの? 」
「キャッチされてん、そんで、仲良うなって転がり込んで来た。でも、飼い猫のエサ切らすほどビンボーしとったしー、一緒にツナ缶の代わりにやっすいネコ缶食べたこともあったわぁー」


昔を思い出すような目付きをするまーちゃ子に、ヒロセさんが突っ込む。


「ネコ缶食べたの! それ凄いよ」
「いがいとイケんねんでー、あ、そや、今度作るわーネコ缶サンド、ササミ入りやし栄養もあるしー、毛づやも良くなるんよー」
「食べたくないって、最後の毛づやって俺に対する嫌がらせでしょ」
「ヒロシ、毛ぇ薄いもん。せめてツヤ出して、量あるように見せな」


やや少なめの頭髪を、スリスリとなでる様子は、どこからどう見ても恋人同士。


「余計に光るって! ツヤなんか出したら」
「ええやん、別にぃーいまさら気にせんでもー、ウチはヒロシに夢中やからー」
「だからヒロシじゃないってば! 」
「え、違うの? えー、ほしたらヒロス? 」


ボケボケにボケ倒されて、調子が狂うはずだけれど、ヒロセさんは自分もボケて返す。


「ヒロスって、とーほぐすっしん(東北出身)を、バカにすんでねえど」
「アハハ、おもろいなぁー」
「お前の方が面白いよ、まーちゃ子」
「いやいや、ヒロスさんの方が面白いし。ま、せやから、好きになったんやぁー」
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