『イロモノなアタシⅡ 小鬼更正計画』
「蘭子さん、大丈夫ですか? 」


そーっとかぶっているカツラを持ち上げ、社長の頭に乗せると横に座る。


「あん? シホじゃねーか」


ヤンキーに戻ってるよ、あーあ。


蘭子さんはかつて、千葉で相当有名なガチガチヤンキーだった。


その頃のアダ名は『鴨川キング』。


しかし、中学生の頃から男性に目覚めてしまい、自分の中の男気と格闘を何度も繰り返したあげくに、二丁目に流れ着いたそうだ。


そんな頃の蘭子さんに戻っている姿を目の当たりにし、そぉーっとグラスを差し出したら、いきなりホホ肉をつかまれる。


「うまそーだな、相変らず」
「た、食べないで下さい」
「アイツと上手く行ってんのか? あ? 」


聞かれて教えた答えによっては、この後の動きが違う。


落ち着け、慎重に考えるんだ。


「う……上手く行ってません」
「あんだ? 応援させといて、オメーはだから情けないんだよ」


グッサーッ、痛いよう。


交渉失敗しました、エージェント志穂は。

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