lovable winp
トロトロと浅い眠りの中で微睡んでいる頭で、また昔の夢を見た。
物心がついた頃には、両親はケンカばっかりしていた記憶しかない。
家庭を顧みない父親に泣き喚く母親。
離婚が決まってからも、俺の親権をめぐってまたケンカ……。
テーブルを叩きつける音や怒鳴り声から逃げたくて、いつもケンカが始まると家を飛び出した。
そんな時、俺が決まって向かう場所。
「彩くん!」
それが近所の相菜の家だった。
親がケンカしてたら時間に関係なく訪ねて来る俺を、
「いらっしゃい」
相菜の家族はいつも何も言わずに受け入れてくれた。
その優しさが嬉しくて……。
だから、相菜がイジメられてたら俺が助けて恩返しするんだって……ガキンチョながらに考えてたのを今でも思い出す。