lovable winp

それから数年かけて離婚が成立して母親は家を出て行き、父親はますます仕事にのめり込んだ。


知らないハウスキーパーが家に来て、事務的に仕事だけをこなしていく毎日。


他の子には母親が居て、ご飯を作ってくれたり身の回りのことをしてくれて……。
そんな普通の家があるのに、なんで俺の家には誰も居ないんだ……?


空っぽの家の中でそんなことばっかり考えてた。


その頃からだ。
相菜と距離を取り始めたのは。


優しい家族が居る相菜が羨ましくて、相菜と関わるのを避けるようになっていった。


親が離婚したての頃は、


「いつでも家に来てね。お母さんたちも心配してるから」


なんて、俺の心境も考えずに相菜がしょっちゅう声をかけてきたっけ……。


それが同情みたいで嫌で、


「二度と関わるな!」


相菜を拒絶したんだ……。



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