恋箱。




アツシと距離を空けたってコトは……厳しかった束縛からもようやく解放されたって事でもあり……。



気を紛らわそうと、アタシは久しぶりに奈々さんに電話をして飲みに行く事にした。



親友の奈々さんにすらあまり会わせてもらえずにいたから……そんな些細な事がすごく嬉しい。




アツシがいなくったって大丈夫。


寂しいけど……アタシには奈々さんがいる。




「奈々の地元でもいい??」


「どこでも良いよ~♪」



一件目は普通の居酒屋さんへ行って、2件目に知り合いがいるというスナックへ。




この店との出会いが……アタシとリュウジを逢わせる最初のきっかけになるなんてね?




そこはなんの変哲もないカウンターだけのスナック。




名前は「泉」



マスターとオンナの子が一人居るだけでヒマそうだった。


それはちょっとだけ「シアン」を思いだす。


アツシと別居してからは偶然会うのが怖くて……「シアン」に行く事はなかった。






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