恋箱。
第②章 転落


そして……県外へ転校したケンとは違いアタシは市内の通信制高校へ籍を移していた。


ホントはもう学校なんて行きたくなかったし、一日でも早く働いてケンが迎えに来てくれたトキの為にお金を貯めたかった。


でも通信なら、日曜だけ学校に行けばいいらしい。




バイトも出来るし、何よりママが言った



「今行きたくなくても、将来高校行きたいなって思ったトキに書類をあの高校に取りに行くのは嫌でしょ?」


その言葉だった。





確かにまたあの担任のいるかもしれない場所へ足を踏み入れるのなんてまっぴら。私立高校だから先生の転勤もないし……。




それに他の先生だっていい目では見ないだろう。


通信制高校の試験は作文と簡単な面接のみ。





落ちる訳なく合格。

これでも高校入学時は学年20位だったんだから。





ケンと逢えなくなった春。




こうしてアタシは通信制高校の2年生になった。




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