恋箱。



「明日からバイト行くわ」



親に告げた偽りのバイト先……それは本当はソープランド。



この一線だけは越えてはいけない気がしてた。同じ風俗業でも最後を許すか許さないかで驚くほどの格差がある。


給料も……周りの視線も。



でも。


もう生きないんだったらドコでも一緒。


ヘルスより楽らしいよ?そんな話を聞いたから決めただけ。



本番をヤルかギリギリでヤラないか……それって実は大して重要な事じゃないのかもしれない。



親に払ってもらってるローン代、それにお葬式ってかなりお金がかかるって聞いたことあるし。


大学生の弟の為にも金銭的に迷惑はかけたくない。なんて考えてたらやっぱりお金は必要で……。





あとは……もう夢もないんだけど美味しいものぐらい最後に満喫して……。



その為に、手っ取り早く稼ぐにはやっぱりこの業界になってしまう。




死に急ぐアタシは止まらない。



そして、離れても離れても帰ってきてしまうこの世界。



慣れって……怖いね?




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