彼女の世界が変わらぬ理由
「違ったこと…ですか?」
「ああ。例えば何か小さなアクセサリーやキーホルダーなんかを作って売ってみたり」
「えっ! 指輪とか?」
「いいね。材料費だけを代金としてもらってもいいし、それか売上は募金してもいいだろう」
「えー、楽しそう!」
部員たちは皆乗り気になって、こんな物を作りたい、材料はアレがいいと話し出す。
その中でマリアだけが、黙々と筆を動かしていた。
「柚木くんは、どう思う?」
部員たちに好きに話し合いをさせ、飛田は輪に加わらないマリアに声をかけてきた。
「何か作りたい物はあるかい?」
「ありません」
「何も?」
「あたしには、絵しか描けませんから」
淡々と答え、彼には目も向けない。
飛田は気にした様子もなく笑った。