彼女の世界が変わらぬ理由
いつもの飛田と、様子が違う。
「先生? 何か…あったんですか?」
「いや…大丈夫。キミが心配することは何もないんだが…」
歯切れの悪い物言いに、マリアは妙な緊張を覚える。
「ただ少し…まずいことがあってね」
「まずいこと?」
「悪いのは僕なんだ。だから先に謝らせてほしい」
職員室の横、応接室の前で立ち止まり、飛田はゆっくりと頭を下げてきた。
「すまない」
「やめてください。何で先生が謝るんですか? 何があったんです?」
「それは…中にいる人が、詳しく知っているから。話を聞いてみてくれ」
結局飛田は難しい顔をしたまま謝るだけで、何も話してくれなかった。
仕方なく頷く。
彼はマリアの頭を一度撫でてから、応接室の扉に手をかけた。