Bitter Sweet
懐かしい校舎。

部活の掛け声がよく響く校庭。


ー授業中、窓際の席で、体育でサッカーしてる昂くんを見つめてたりしたな。


色々なことを思い出しながら

中庭を通り抜け、私達が放課後過ごした弓道場へと自然に足が向く。



弓道場では、今の部員達が練習に励んでいるのが見える。
練習の邪魔にならないように、遠目から2人でその風景を眺めた。


「ー俺、お前の胴着姿好きだったな。」

ボソッと頭上から声が降りかかる。

見上げると、本当に。

柔らかい笑みを浮かべた彼がいて。

私の大好きだった彼がいて。


夕陽が射し込んで、その光で彼の眼鏡の淵が反射すると、思い出と重なって余計に眩しく見えた。


「今更、こんなとこ連れてきて…って怒ってない?」

眉を下げながら聞いてくる彼の瞳には、迷いがあるようにも見えた。


「…怒ってないよ。ココは、昂くんとじゃなきゃ来れなかったから…想い出がありすぎて。」



弓道場を見つめながら答える。

「私も…胴着姿の昂くん好きだったよ。」

大会前に、遅くまで練習して。

たまたま2人っきりになった時に、

道場の隅で。

初めてのキスをしたーー。

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