Bitter Sweet
高梨のアパートに着くと、
ちょうどあいつの部屋に明かりが灯る。


ーいる。

走ってきたせいで心臓がバクバク脈打って、うまく呼吸ができない。

なんとか息を整えようと、深呼吸をしてから、階段を昇った。


ーもう、ここには来れない。
そう思っていたけど。


今度は緊張してきて、更に胸がドキドキしてくる。


緊張で震える指で、高梨の部屋のチャイムを鳴らした。


玄関に近付く足音。

なんだか急に不安になって、思わずギュッと目を瞑る。


ーそして。

ガチャリ、とドアが開いた瞬間、私は目を開けた。


目を真ん丸くした高梨がそこに立ち、私を見ると同時に、

手首をグイッと掴まれて、部屋の中へ引き込まれた。


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