Bitter Sweet
部屋に引き入れられ、
後ろでドアがバタン、と閉まる音が聞こえると同時に、

私は高梨の腕の中にいた。

ドクンドクン、と高梨の胸の音が伝わってくる。


「…蓮。レン?」

抱きしめられた腕の中からそう声をかけるけど、私の顔は高梨の胸に押しつけられていて彼の顔は見えない。


「なんで来たんだよ…?」

高梨の声は小さくて、呟きにも似て。
聞き逃してしまいそうな問いかけだった。


私は高梨の背中に回した腕に力を込めて、

緊張が止まないのをグッと堪えて高梨に言った。

「逢いたかったから。」


そうなんだ。
私は、高梨に逢いたかった。

プレゼントをついさっき、うちまで届けに来てくれた事。

それが時計だったことの理由。

聞きたいことはあったけど、

高梨の茶色がかった髪や、
長い指。

甘い、とろけそうな笑顔を。

思い浮かべてしまったら。

ーもう、止まることなんて出来なかった。

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