Bitter Sweet
同期としこたま飲んだオレは、珍しく酔っていた。

酔ってると、好きな女に会いたくなる。
ひかりさんに、会いたい。

そう思ったオレは、まだ飲んでる奴等より先に帰り、家路へ急ぐ。

いったん自分の部屋に帰り、ある荷物を手にしてすぐ、外へ出た。

この間、酒屋で見つけたワイン。
ひかりさんが好きなやつだったはずだ。
迷わず買って、ついでに2人で飲めるようにワイングラスも選んだ。
喜んでくれそうだ。

それらが入った袋を持って、ひかりさんのマンションに向かった。

近いって便利。
会いたければすぐ行ける。

オレは上機嫌で歩いた。

マンションに着くと、ひかりさんの部屋には灯りがついていない。

またどっかで飲んでるな?さては。

携帯を出して、ひかりさんにかける。

もう帰ってるとこらしい。

外は結構冷えるのでオレはマンションのエントランスで待つ事にした。


しばらくすると、

「高梨?」

突然来て、何なのよ。
とでも言いたげなのが分かる、彼女の声。

怒っては、なさそうだ。

酔ってるのをいい事に、オレは彼女に抱きつく。

ー酒の匂いと、

これは…?

いつもの彼女の香りと違うニオイが鼻につく。

ー気にするな。
飲み屋に行けば少なからずつくニオイだろ、こんなの。

そう言い聞かせて、部屋へ行こうとエレベーターに誘う。


誰と飲んでたのか、聞いてみる。

友達とよ?、とオレの顔は見ないで言うひかりさんに、違和感を覚えた。

ー嘘つくの、下手だな。ひかりさん。

オレはそう思いながら、彼女の部屋があるフロアへ着いてから、ただ彼女の後を黙々とついて歩いた。

胸の中では、フツフツと。
嫌な感情が沸き起こる。

ー嫉妬、かよ。オレが。
きっとただ、飲んでただけだろうに。

それでも、嘘をつかれた事と。
飲んでた相手が有田さんであろう事に。

自分で思うよりも、ショックを受けていたらしい。

彼女を独占したい。

その想いが、次の最悪な行動に繋がったー。
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