Bitter Sweet
酔いと熱情に任せて、
オレはひかりさんの口唇を貪った。
角度を変え、浅深をつけ。
息つく暇も与えないくらい。

オレの問いかけに無言で俯く彼女を見て、疑問は確信に変わる。

やはり、有田さんと一緒だったのか、と。

問い詰める資格も権利もない。

オレは彼氏じゃないんだから。

ーでも、ひかりさんはなんでオレに嘘をつく必要がある?

辿り着く答えは、
ひかりさんはオレの気持ちに気付いてる、って事だ。

無性に虚しくなり、怒りに似た感情も湧き上がる。

そして。

ーめちゃくちゃにしてやりたい。

そんな危険な欲情を、彼女に向けてしまった。


ー気付けばオレは彼女を組み敷いて、征服しようとしていた。

「やだよ、蓮…こんなのは…。」

彼女の、オレの名前を呼ぶ声が震えていて。

ようやく、ハッと我に返る。

馬鹿な事をした、そう悔いるのと同時に、

こんな時だけ、"蓮"と呼ぶ彼女に参って。

「ズルいな、ひかりさんは。」

つい口をついて出た。

少しは彼女を傷つけてやりたいなんて、酷い加虐心。


月の光が彼女を青白く染め上げて、露わになった胸元にオレは構わず刻印を落とす。

ーオレの、だ。

そう想いを込めて。

身体に熱を帯びながらも、オレはそれ以上、ひかりさんに何も出来ず、その場を逃げるように去った。


ひかりさんを、泣かせてしまったから、だ。

泣かせたくなくて、傍にいるって言ったのに。

オレが泣かせてどうするんだ。

サイアクだ。

ーもう、遅い…。


ひかりさんに会いに来た理由も忘れて、オレは早足で帰った。


己のガキさ加減にほとほと嫌気がさしながら。
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