Bitter Sweet
「んーっ!」

と、オレを押し除けようと初めは無駄な抵抗を見せていた彼女から、吐く息と共に段々力が抜けていくのがわかる。

「……。」

「……。」

目を開けると、そこにはトロンと熱っぽい瞳を向けるひかりがいた。


「……またそんなカオしちゃって。エロい。」

「なっ!誰のせいよ!」

「さぁ。」

オレは素知らぬフリをしながら、ソファにひかりを押し倒した。



『怒ってる彼女を宥めながら、組み敷いてみたい』


ー先輩の言葉を思い出す。


…ひかりをこうしていいのは、オレだけだっつーの。



あの時のイラつきが再燃して、少し乱暴にひかりのシャツの裾から手を差し込み、そのまま脱がせる。


「ちょっ、蓮、待ってよ。ココで?せめて電気消そうよ、恥ずかしいよ…。」

いい大人なのに、いまだにそんな羞恥心を持つこーゆうトコロが、可愛いんだよな…。


「ヤダ。ムリ。今すぐしたい。」

ひかりの上に跨って、顔の真上に自分の顔を寄せ、そう、笑顔で告げる。


口をポカン、と開けて真ん丸にしていたひかりの瞳は、徐々に三日月形へ細められた。

「…っもう!ワガママなんだから!」

クスクス笑い出すひかりにつられてオレも微笑いながら、今度は優しく。

愛しさを込めて、キスを落とした。
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