Bitter Sweet
「何、泣いてんの?」

ひかりの目の際に溜まってる涙をすいっと指で拭った。

「泣いてないよ、バカ。」

プン、と拗ねて口を尖らす。

「オレ、そんな変なこと言った?」

「…違くて。…嬉しかった、けど。」

「けど?」

ひかりがなんで拗ねてるかは、分かってる。

でも、ひかりの口から出てくる言葉が聞きたくて、あえて尋ねた。
口元がニヤつくのを抑えきれないまま。


「っもう!分かってるくせに!ニヤついてるのがムカつく!」

バシャッとお湯を頭に浴びせられて髪が顔に貼りついた。

その髪を後ろに流して、顔についた水滴を両手で払ってから、言った。

「何だよ、嬉しかったくせに。いーじゃん、ホントの気持ちなんだからどこで言ったって。」


「…ホントに?」

「ん?」

「ホントにおばあちゃんになってもこうして一緒にいてくれる?」

繋いだ手を湯船から上げて、その手をじっと見つめる。


「……一緒にいたいって思ってるよ。」

「…何よ、その微妙な言い回し。」

ひかりからの間のないツッコミに苦笑しながら、
もう一度。
オレはひかりを前から抱き寄せた。
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