Bitter Sweet
「…何かあったら、連絡して。」
微笑んで言ってくれる。

「なんもないよ、きっと。」

「なくてもいーよ。仕事のグチでもいーし。」




なんで、私に甘いんだこいつは。


「私にいーように使われちゃっていいの?天下の高梨クンが。」
試すようにわざと、イヤミっぽく言ってみた。

「使われてやってんの。いつかしっかりお礼はもらうから大丈夫。」
にーっこりと口の端だけ笑みを浮かべる。

私に優しくするくせに、強気な姿勢は崩さない。


「あっそ。」
なんとなく悔しくて、かわいくない応答をしてしまった。


それから少しの間、高梨と取り留めのないことを喋り、明日からの出張に備えるため、早めにその場を後にした。

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