Bitter Sweet
「俺、あの後、しばらく彼女作らなかった。」
「え…どうして?」
視線を落として昂くんは続ける。

「なんだろな、こう…心にポッカリ穴が空いたって、こういう事かって。初めて知ったから、かな。」

昂くんが持つグラスの氷がカラン、と音を立てて響く。

「その穴を、代わりの誰かで埋めたり出来なくて。自然とふさがるの待ってたら、一年位かかったかな。」

…うそ。

だって、一応、私がフラれたのに。

きっと、かわいくてキレイな女子大生がいっぱいいて、新しい彼女作って、楽しく過ごしてるんだろうな、って。

私の事なんて忘れて、って。

そう、思ってた。

だから、私も早く忘れなきゃって、受験勉強必死にやって過ごしてた。

「そんな…だって、昂くんが別れを切り出したから。」

だから、別れた?

ううん、昂くんだけのせいじゃない。
あの頃の私は、あれ以上、その恋を頑張れなかったんだから。

今ここで責めるのはお門違いだ。

「分かってる。俺が勝手にケリつけたんだ。でも、いざつけてみたら。」

懺悔するような眼差しで私を見つめる。

「ひかりが、俺の中でどれだけ大きい存在だったか、思い知らされちゃったよ。」

バカだったな、と自嘲気味に笑う。


ーーやだ、やめてよ。

変に緊張して手が震える。

喉が異常に渇いてたまらない。

さっき来たビールを一気に喉に流し込んだ。


< 66 / 263 >

この作品をシェア

pagetop