甘い香りを待ち侘びて


「そう、正解。気に入ってくれた?」

「もちろん! ……っていうか、素敵すぎて感動しちゃった」

「そう思ってくれるなら嬉しいよ。エリのために頑張って作って良かった」

「このアメ細工もヒロくんが作ったの?」

「そうだよ、エリに喜んで欲しかったから」


 優しい微笑みを浮かべるヒロくんと視線が重なる。あぁ、こんなにも想われているんだと、ヒロくんはいつも感じさせてくれるんだ。

 クリスマスに会えただけでも嬉しいのに、こんな素敵なケーキまで作ってくれるなんて……。

 ありがとう、とヒロくんに言うけれど、きっとそんな言葉だけでは足りないぐらいわたしは喜んでいる。


「喜んでくれて良かった……って言いたいところだけど、どっちかっていうとこれの方が喜んでほしいな」

「えっ?」


 突如目の前に差し出される白い箱。ピンク色のリボンが結ばれたそれは、ヒロくんの手のひらの上にちょこんとお行儀よく座っていた。


「クリスマスプレゼント。受け取ってよ」


 そう言われて半ば無理矢理、箱をわたしの手に持たせてきた。

 毎年ヒロくんからのクリスマスプレゼントはケーキだったから、いつもより多いプレゼントに戸惑ってしまう。
 でも遠慮の言葉を言おうとする前に、開こうとした唇にヒロくんの唇が重なる。啄むようなキスだった。


「ひ、ヒロくん……!」

「良いから受け取ってよ。それと、開けてみて」


 優しさの中に芯がある声でそう言われると、何も言い返せなくなる。仕方がないのでリボンを丁寧に解いて、箱の蓋に手をかけた。

 何が入ってるんだろう……。
 二つ目のプレゼントの方が、ケーキのお披露目の瞬間よりもドキドキした。


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