魅惑のキスネコ!【完】
コンプレックス

あのあと、
何度もジンに電話を掛けた。 

何を言えばいいのかもわからない。
けど、かけずにはいられなかった。


いつのまにか夜が明け
リビングには日が差し込む。
ネコのポパイはあたしの横で
丸くなって眠っている。


リリリリリーン

 リリリリリリーン・・


「!!」

携帯が突然なり
あたしはハッとして
手の中のそれに目を向けた。


ジンだ!!


「もしもし・・!」


”・・・・・カナ”


ジン!!


「・・・ッ。」

声にならない嗚咽がこみ上げる。
よかった、声を聞けて。
本当に良かった。


”カナ・・?
聞こえる?”


「んっ・・うん。
聞こえるッ・・」


”・・・家ちゃんと帰った?”


「うん、帰ってる。」


”そっか、良かった。”


「ジンは・・」


”カナ”


「えっ・・?」


”俺たち・・・
・・どうしようか”


その沈んだ声に
背筋が冷たくなった。


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