婚恋

4つのsomething

藤田さんから頂いたブライダルインナーは純白の綺麗なロングラインのブラと
ショーツ・・・それにブルーのリボンをあしらったガ―タ―リング

somthingblue・・・青いものをそっと目立たないところに
つけることで、幸せが訪れると言われている。

幸せに・・・・なれるのかな・・・
全て嘘だとわかっていてもこのガ―タ―リングを身に着けたい。
せめて今日一日だけは陸のお嫁さんでいたい。

somethingnew・・・ブライダルインナー

ブラとショーツそしてストッキングを身につけた。
サイズもぴったり。
まさか母にサイズを聞いていたとは本当に知らなかった。
そして・・・
私はガーターりリングを強く握りしめると
思いを込めて足にはめた。

somthingold・・・・
藤田さんから借りたウエディングドレスだった。
最初から私の中では大きめのパフスリーブを両肩が出るまで下ろして
オフショルダーにして着こなしたかった。
スタッフの方もその方が素敵だと言ってくれた。
偶然にも4つのsomethingのうち3つ集められた。

フィッティングルームから出てくると
藤田さんの他に着替えを済ませた母がそこにいた。
「お母さん・・・」
母の顔が今にも泣きそうになってた。
「もう!何泣きそうになってるの?準備はまだ終わってないのよ。
今から綺麗にヘアメイクしてもらうんだから泣くんだったら
その後にしてよね。」
「わかってるわよ。でもドレスとても似合ってるわ。
 藤田さん娘の我儘に付き合ってくれて本当にありがとうございます」
深々と頭を下げる母に藤田さんは何度も頭を上げてください。と
恐縮していた。
そして母は何かを思い出すかのようにバッグから小さな箱を取り出した。
「春姫・・・これ、つけてくれない?」
差し出された箱を受け取り箱を開けるとパールのイヤリングが入っていた。
「これは・・・」
「私が結婚した時におばあちゃんから頂いたものなの」
「え?」
「これをつけたらおばあちゃんきっと喜んでくれるわよ」
「おばあちゃん・・・・」

私はありがとうとごめんを繰り返しながらイスに座りヘアメイクをお願いした。

4つのsomethig・・・・花嫁が結婚式の日の4つのsomethingを身につけると
永遠の幸せを送る事が出来るといわれている。
偶然なのかそれとも必然だったのか私にはわからない。
だけどもし本当に永遠に幸せがあるのなら
この偽の結婚式が嘘じゃないものでありたいと願ってもいいよね。

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