婚恋

誓いのキスと陸の告白

プチパニック状態なのにもかかわらず式は進んでいった。
指輪の交換になり

私はブーケと手袋を介添人に預けた。
陸が神父から指輪を受け取って、私の左手薬指にはめた。
初めて見る結婚指輪は私の指にぴったりと治まった。
まるで最初から私の指にはめるつもりで用意したのではないかと
いうほど・・・

続いて私も同様に陸に指輪をはめるのだけれど
さっきの誓いの言葉からペースが乱れ
手が震えてしまう。
そんな私の気持ちを察してか
「大丈夫だよ。ゆっくりでいいから・・・」
そう囁く陸の顔はとても優しい眼差しだった。

目の前が涙で滲み始める。
この涙が何の涙なのか自分でもわからない。

指輪をはめる事がなんとか出来た事にホッとしていると
誓いのキスをと言われた。
最初の打ち合わせではキスはなしと言う事になっていた。
あくまで私は代役だったから
でも陸は私のベールをあげた。

目で、キスしないよね・・と目で訴えるものの
陸の顔はする気満々だ。
さっきの誓いの言葉で私の名前が使われた事の説明もないのに
誓いのキスなんて出来なかった。
だけど陸の意思は固かった。
しかも陸の顔は今まで見た中で一番綺麗な笑顔だった。
この結婚式を心の底から喜んでいるかのように・・・
それなのに私は状況が全く把握できす、落ち着きがなくなっている。
きっと私は酷い顔をしているに違い。

陸の顔が近付き唇が触れるか触れないかのギリギリのところで
その動きが止まる。
心臓はもうドキドキを通り越していた。
そんな状況で陸は私に囁いた。

「春姫・・・愛してる・・・これが俺の本当の気持ち」

もう真っ白だった。
陸が・・・・陸が私の事を・・・愛してるって・・・
今そう言ったよね・・・
私・・・聞き違いじゃないよね・・・
もう頭の中がぐちゃぐちゃだった。
しかも気付けば誓いのキスをしちゃっていたのだ。

そして私は陸との誓いのキスの後
気を失ったのだった。
 
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