俺様王子様に振り回されて
無意識に可愛いなんて思ったことのある女なんて。

1人もいなかったから。


俺が、そう思うなんて、ありえないと思っていたから。





俺が、自分の変化に驚いていれば。



彼女はさっと俺から離れ、数学教師の元へ行った。





そして、へたりこんでいる数学教師に、黒い笑顔を向けた。



綺麗で、思わずゾクッとする笑み。



「お前さぁ・・・変態なわけ?」


冷たい声に、数学教師がビクッと震えた。



石原はずいっと数学教師の耳に、自らの唇を近づけた。





「今度俺に何かしようとしたら・・・・・・分かってるよな?

ただじゃ、済まされねぇってことぐらい。」




"俺"


一人称をそう変えただけで、

石原はもう、男にしか見えなくなった。




数学教師は、石原の黒い笑みやらに怯えて、

必死に頷いていた。




そして、石原がスッと数学教師から離れれば。


一目散に逃げて行った。





・・・・・・おいおい。



「どんだけ根性ねぇんだよ。」


呆れたように呟いた。



マジでアイツ教師なのか?






なんて思っていれば。





「あぁーーーーー!!!!!!最っ悪!!!」



石原が呻き始めた。







今度はなんだよ・・・。


石原の方を見れば。






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