俺様王子様に振り回されて
もはや芸じゃん。


とか感心しつつ。




「だって、私、奴隷だし?」


「・・・・・・奴隷?」



首を傾げたのは、1年の可愛い子。


勿論、羽依には劣るけど。




「そ。奴隷。私、森井に助けられたから。」


今日も・・・な。




今日のことを思い出し、思わず頬が緩んだ。




絶体絶命だったけど、また、アイツは助けてくれた。



息を切らして駆け込んできてくれた奴は、すごくカッコよく見えた。


というか、実際カッコイイんだけども。





「助けられた・・・ねぇ。ふぅ~ん。」


さっきの3年の女子が嘲るように笑った。




「だから、奴隷?たしかに、千春らしいわよねぇ。

でも、本当はあなたがそうやって、繋ぎ止めたいだけなんじゃないの?」



「繋ぎとめる?何をだ?」



「千春をよ。

お近づきになりたいからって、それに甘えてるんでしょ?

ホントは千春は、あなたとなんていたくないのよ。」





・・・・・・いたくない?




「でも、"俺のモノになれ"って言ったのは森井の方で・・・」


「先輩、馬鹿なんですか?」


さらりと1年に馬鹿にされた。




むっかつくー。




「そんなの、冗談に決まってるじゃないですか。

あの千春先輩が、あなたなんかに本気でそんなこと言うわけありませんよ。」




・・・・・・冗談?






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