俺様王子様に振り回されて
心配になっていると、森井が私を見た。



そんで―――







―――柔らかく、微笑んだ。








・・・・・・心臓が、飛び出すかと思った。







その、初めて見た柔らかい微笑みに。



心臓が、飛び出るくらい大きく高鳴ったんだ。







「・・・うまい。

石原、料理できたんだな。」


「りょ、料理くらいできるっつの!」



とか言い返しつつも、ほわりと胸は温まった。





良かった・・・。



うまいって、言ってくれた・・・・・・。






嬉しい。



素直にそう思えた。





嬉しくて、嬉しくて、堪らない。







森井は、本当に美味しそうに私の弁当を口に運んでくれて。






私は・・・空腹だったのに。



そんな森井を見てばっかりで、全然箸が進まなかった。






しかも、無意識に頬が緩んで。


元に戻すのが、大変だった。











――数十分後。






「ごちそうさま。」





森井はすぐに私が作った弁当を食べ終えた。





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