俺様王子様に振り回されて
裏庭にたどり着いた私は、膝から崩れ落ちた。



荒れ放題の裏庭は、雑草が元気よく伸びている。




私は、そんな柔らかな雑草の上に、ぎゅぅっと握った両手をつける。


震える両膝も、つけた。








蘇るのは、さっきのあの光景ばかり。



上半身裸で抱き合っていたあの2人。

















―――なぁ、森井。



好きだよ?





心の中で、話しかけた。








ピンチのときにいつも助けてくれて。



俺様で意地悪で。




でも・・・優しくて。





そんなお前に、いつの間にか、恋してた。








恋なんて、初めてで。



こんな気持ち、初めてで。




どうしたらいいか・・・・・・わかんねぇ・・・。










―――・・・知らなかった。




恋がこんなに苦しいなんて。


痛いなんて。



好きっていう気持ちが辛いなんて――知らなかった。







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