Always
「――傷つけばいい」

そう言った僕に、七緒は驚いたと言うように顔をあげた。

「えっ…?」

僕は深く呼吸をすると、
「逃げるくらいなら、傷つけばいい。

ナナはまだ若いんだ。

傷ついて、立ちあがって、また傷ついて、また立ちあがって…人生は、そんなことの繰り返しだ」

ロクに傷つくことをしなかった僕が言うのも、何なんだと思う。

何様の顔をして、そんなことを言っているんだと自分でも思う。

「傷ついてこい、ナナ」

そして、間違っても僕のような人生を歩むな。
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