Always
次に目を開けた時、私はふとんの中にいた。

「ああ、よかった」

そばにいた父親が私の顔を見たとたん、ホッと胸をなで下ろした。

父親曰く、私は家の前で倒れていたそうだ。

「ビックリしたよ。

仕事から帰ったら、萌が家の前で倒れていたから心配で心配で」

悲しそうに眉を下げて悲しそうに言った父親に、私は迷惑をかけられないと思った。

死んだと聞かされていた母親に会ったなんて、言える訳がないと思った。

「ごめんね…。

家についたとたん、めまいがして…それで、気持ち悪くなっちゃって…」

ウソをつくことが、こんなにも苦しいことなんて知らなかった。

父親も幼い私にウソをつく時、つらく、苦しい思いをしたんだと知らされた。
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