ハリネズミの恋
太と目があったとたん、針井は目をそらした。

「えーっと…」

その場に意外な人物がいたことに戸惑っているのか、太は言葉が出てこないらしい。

そう言えば、去年の選択授業で一緒だったこと以外この2人には何の接点もなかったな。

「おい、七緒」

太は俺の名前を呼ぶと、グイッと俺の腕を引っ張った。

「何だよ」

そう言った俺に、
「針井も一緒だなんて、俺聞いてないぞ?」

太は声をひそめて返事した。

「ライブ観にきた客が俺1人だったらかっこ悪ィだけじゃねーか」

コソコソと声をひそめた太に対し、俺は普段通り――むしろ、少し大きめの声で返した。
< 116 / 297 >

この作品をシェア

pagetop