ハリネズミの恋
ハリネズミみたいだと、俺は思った。

ハリネズミと言う動物は、敵から身を守るためにたくさんのトゲを躰につけている。

たくさんのトゲを身につけているくせに、周りに対する警戒心が強い生き物だ。

同じく周りに対する警戒心が強い針井は、まさにハリネズミだ。

「心配するなよ」

目を伏せる針井に向かって、俺は言った。

針井は俺と目をあわせるが、不安はまだ消えていない。

「俺と話すことにはなれたんだろ?

ゆっくりと時間をかければいいだけの話だ」

俺の言葉に、針井は首を傾げる。
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