龍神様との恋愛事情!
「ああ!嬉しいな!これで私と沙織は晴れて恋人同士だよ」
千早様が無邪気に笑いながら、私にガバッと抱き着いた。
「まだ奥さんにはなりませんよ?」
「わかっているよ。焦るつもりはないからね。まあ、予約はするけれど」
予約?
それって、婚約のこと…?
「はぁ…満たされる…。両思いとは、こんなに心地好い感情になるんだね。父上の気持ちがやっと理解できたかな」
「父上?」
「うん。私の父上。もと五龍の長だよ」
千早様は私の髪をすきながら続けた。
「父上はね、人間と恋仲になったんだ。だからよく聞かされたよ。恋はいいものだってね。愛し愛されて、真に魂が満たされるとね」
愛し愛され…。
千早様の求めてたものは、お父さんが教えてくれたものだったんだね。
きっと千早様のお父さんは恋を知って幸せになったんだろうな…。
出なきゃ千早様に「恋はいいものだ」って語れないよね。