龍神様との恋愛事情!

「ああ!嬉しいな!これで私と沙織は晴れて恋人同士だよ」


千早様が無邪気に笑いながら、私にガバッと抱き着いた。


「まだ奥さんにはなりませんよ?」


「わかっているよ。焦るつもりはないからね。まあ、予約はするけれど」


予約?

それって、婚約のこと…?


「はぁ…満たされる…。両思いとは、こんなに心地好い感情になるんだね。父上の気持ちがやっと理解できたかな」


「父上?」


「うん。私の父上。もと五龍の長だよ」


千早様は私の髪をすきながら続けた。


「父上はね、人間と恋仲になったんだ。だからよく聞かされたよ。恋はいいものだってね。愛し愛されて、真に魂が満たされるとね」


愛し愛され…。

千早様の求めてたものは、お父さんが教えてくれたものだったんだね。

きっと千早様のお父さんは恋を知って幸せになったんだろうな…。

出なきゃ千早様に「恋はいいものだ」って語れないよね。


< 249 / 564 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop