龍神様との恋愛事情!
キュン?
何今の?
ズキンとかドキンとかじゃなくて、キュン…?
キュンて……まさか…。
自分の胸の高鳴りが示す意味を正確に理解してしまった私は、慌てて千早様に背中を向けた。
「沙織?急にどうしたんだい?」
「千早様は…やっぱり、ずるいです。反則…反則技ですよ」
「は?沙織?」
千早様が私の肩を掴んで反転させる。
私の真っ赤になっているだろう顔が、千早様の前に曝された。
「沙織…」
軽く目を見張ってから微笑し、私の熱を帯びた頬を愛おしそうに撫でる千早様。
「そんなこと言われたら……私も、堕ちるしかないじゃないですか…」
――恋に…
「堕ちてくれるのかい?沙織も」
「はい…」
さっきの胸の高鳴りは、私が恋に堕ちた音だったんだ。
千早様の立場とか、私の不安とかそんな細かいことを全部抜きにして、私が彼に恋した音。