龍神様との恋愛事情!


 一月一日、お正月。

十七歳になった今でも、私は必ず母方の実家、おばあちゃんの家へ泊まりに行く。


「お邪魔しま~す。あ、おばあちゃん。元気?」



「…………ごめんなさいね。どちら様だったかしら」



……うん。

わかってたけどね。

やっぱり、辛いな。


「沙織だよ、おばあちゃん。おばあちゃんの孫です」


「………あ、ああ!沙織ちゃんね。久しぶりね~」



私のおばあちゃんが認知症になって、もう数年経つ。

最初は物忘れが激しくなった程度だったのが、最近では相手が誰かすらわからない。

教えて気がつけばいい方で…。


「お土産、買ってきたから食べよ?」


会話の途中でも――。


「あらやだ………ごめんなさいね。どちら様だったかしら」


数秒後には忘れてしまう。


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