龍神様との恋愛事情!
「そんなの…嫌ぁ!」
井戸の前で、泣きそうになった。
ここ数日で目にした死者を思い出す。
おばあちゃんも…もしかしたらお母さんだって…あんなふうに……。
「桜…」
後ろから腰を抱き寄せられた。
「白龍様……」
「……泣くな」
「は…い…」
そうだ。
泣いたって何も変わらない。
今は、急いで水を汲まなきゃ。
私は唇を噛みしめながら井戸の水を汲み上げ始めた。
「桜……助けたいか?」
「え?」
「お前の祖母を、母を……助けたいか?」
助けたい?
そんなの、答えは決まってる。
「助けたい、です…。でも…」
無理なんでしょう?
なのに、なぜ聞くの?
「そうか」
白龍様はいつも通りの無表情で頷いた。
「ならば…今夜、土地の浄化を行ってから俺はここを発とう。三日の間、ここを離れる」