龍神様との恋愛事情!

「お前の身体から記憶のみを抜き取った」


「え?いつ…?」


「…………」


伊吹様のだんまりが始まった。

言いづらいことなのかな…?


「………お前が、川で死んだ時だ」


え…?

まさか、死んでから…記憶を?


「俺はお前を助けられなかった。川へ飛んだのは、お前の死に気づいてからだ」


伊吹様は私から視線を反らした。


「桜の気が消えた。ゆえに俺は麓へ降りて、お前を探した。川の底で見つけた時、お前は……死んでいた。縛られたまま……静かに…死んでいた…」


その時のことを思い出したのか、伊吹様は泣きそうな瞳をこちらに向け、私の頬をそっと両手で包み込んだ。


「苦しかったろう…?怖かったろう…」


伊吹様の声が震えてる。


「独りで逝かせて…すまなかった…」


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