龍神様との恋愛事情!
天国はふわふわでお花畑……なんて想像していたけれど、行き着いたところは霧深くて周りの景色が何も見えないところだった。
右を見ても左を見ても真っ白なモヤがあるばかり。
天国って、こんなに物寂しいところなんだ…。
「沙織…」
隣で伊吹様の声がした。
「伊吹様……来ちゃいましたね」
「ああ。ここが転生山の頂きか」
かなり驚いてもいいシチュエーションなのに、伊吹様は持ち前の冷静さを発揮中。
落ち着いてるなぁ…。
私なんて、これから自分はどうなるんだろうって怖くてドキドキしてるのに。
不安を胸に抱きながら、ちらっと伊吹様の横顔を盗み見た時だった。
「おや、久しいね白龍。それから……桜の姫君」
霧の奥から第三者の声が聞こえた。