龍神様との恋愛事情!


 次の日、私はお母さんとおじいちゃんのお見舞いへ行った。

家にはお父さんとおばあちゃんが残ってる。

昨日は私がお留守番だったから、今日は連れてきてくれた。


おじいちゃんの体調は昨日よりも落ち着いているらしいけど、良くはない。

もう九十過ぎだから、老衰は仕方ないのかもしれない。

元気な時でも最近の口癖は「俺は棺桶に片足突っ込んでるんだ」だった。

今はそれが冗談に聞こえない。


「おじいちゃん、こんにちは」


六人部屋の病室に入って、明るく声をかけた。


「んー」


おじいちゃんの返事。

ベッドに横になったまま動かない。


「今日は大丈夫?苦しくない?」


お母さんが尋ねた。


「なんとかなぁ」


おじいちゃんの声は掠れてた。


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