龍神様との恋愛事情!
塒山神社の朱い鳥居が見えた。
急降下しながら千早様は続ける。
「最近は皆、自分の願い事ばかりだよ。昔のように雨乞いや豊饒(ほうじょう)を願う人間は減ったね」
千早様は鳥居の上にトンと降り立った。
「いちいち私が叶えていたら、みんな龍化してしまうからシナ様任せにするしかないんだよね。彼なら無条件に叶えて下さる」
シナ様なら…叶えて下さる…。
「シナ様なら…病気も治せますか…?」
「もちろんだよ。なんだい?治したい病気でもあるのかな?私に言ってごらん。シナ様に伝えてあげるから。まあ、あの方がいつここに戻ってくるのかは予測不可能だけど」
いつ戻ってくるのか予測不可能ってことは、いつ願いが叶うのかも予測不可能ってことだね…。
なんで常に自分の神社にいないんだろう?
「シナ様は…どこに行っているんですか?」