揺れる恋 めぐる愛

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男がいるのは知っていたが、彼女の中で不安のようなものがあるのだろうか……

起こったことではないようだし、

能力者じゃなきゃ、まさかこれから起こる事でもないだろう。

人間にとって物理的に離れることは、色々なものを切り離してしまう。

たいていはそれで薄れていき、つながりが断たれて徐々に消えていく。

身体はもちろん、心もそうだ。

ただ時にそうじゃないこともあるというのを

俺は思い知らされている。

時間も、距離も、人の……

君の持つ思い込みの強さ。宿命とでもいうのだろうか？

それには敵わないことがある。

そのために歪んでしまうものがある事も、

壊れてしまう人がいることも……


今回も、気になったからって通り過ぎればいいものを、

つい好奇心でつまみ食いしてしまった。

それだけならまだしも……

捕らわれてしまったのかもしれない。確かに違う何かが惹きつけるその沼に。

俺にとってこれほどの快感を与えた女が、かつていただろうか？


君となら、穂香とそうなったのなら、それは異次元のものになるのだろうが、ハグがやっとで

そんなところまで辿り着くことすら想像もできない。

君が大切で何物にも代えがたいという事実は、何があっても変わらない。

これまでも、これからも……

変わらないはずだろう。