揺れる恋 めぐる愛


蓮目線

野乃花が僕の元を離れて、少し時間が過ぎた。

まさか、そんなことが起こるとは思っていなかった僕にとっては、青天の霹靂だった。

そんなにもたないと思ったのに、それなりに独りで仕事も暮らしもこなしているようだ。

野乃花より早く目覚めた僕は、彼女のベッドにもぐりこんで抱き締め

その香りを思いっきり肺に吸い込む。

僕がいなくても大丈夫なのかと思うと、不安だった。

自分でも……

わかっている。

こみ上げるものがあり、視界がみるみる曇ってくる。

零れないように目を見開き、何とか堪えた。


心のバランスが少しずつ少しずつ……

崩れてきている。

大丈夫じゃないのは、どちらかというと僕の方で、

心だけでなく、身体にまでその影響が及び始めている。

だから約束を欲しがり、手を取って心を縛り付けてみても

結局温もりが望むときにそばにあるわけではなくて……

雲を手でつかむような、そんな状況は変わっていない。

どうしたら、彼女が僕の胸の中に戻ってくるのだろうか……

もう一度深呼吸をしてその香りを身体の隅々にまで浸み込ませる。


ああ、このままさらって、僕しか見えないところに閉じ込めて、

僕だけが大事に大事に守って、愛でたい。
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