揺れる恋 めぐる愛
翌朝……

先輩は私より早く起きていた。

いつの間にかこちらのベッドに入り込み、

私をふわっと抱きしめて、頭を撫でながら……

愛おしそうにこちらを覗き込んでいた。


目が開いた瞬間、満面の微笑みに迎えられる。


「おはよう……

ののか」

掠れた声で、お日様のキラキラを背に微笑む先輩が眩しくて…

目を閉じる。

寝起きの乾いた唇を、優しく一度だけ啄まれた。

再び瞼を持ち上げた私に向かって、

「瞳が潤んでる。かわいい、のの……」

そのままもう一度くちづけられる。


それから掌がうなじから後頭部に伸びてきて、優しく拘束される。

静かに唇を割ってヌルリと入りこむ舌が、温かく感じた。


ゆっくりと探るような舌先が、何度も歯列をなぞり、

舌を絡めて口腔を掻き回し……

眠りとは違う意識の淵に追いやられる。

耳の奥に淫らなクチュクチュという音が響き渡り……


目を開けると、糸を引きながらお互いの唇がゆっくりと離れる。

私は急いで息を吸うと、ぼ~っとしたまま目の前の光景に目を細めた。


こんな燻った目の先輩を見たのは久々だ。

瞳を閉じると、先輩に優しく慈しむように抱かれた記憶が甦る。

先輩は、特別なときだけ私を「のの」と呼ぶ。

「のの」

その声に私は肌がぞくりとした。
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