モントリヒト城の吸血鬼~一夜話~

「…まったく…。」

自分が折れることになった朔夜は、
沙羅とふたりでのお茶の最中に、
ため息交じりにティーカップを
口元に運んだ。

そんな様子を見ていた沙羅が、
クッキーを食べる手を止めて
朔夜の顔をまじまじとみつめる。

「…?なんです?」

視線に気づいて、朔夜が尋ねる。

「ううん。…なんでもないの。」

そういうわりには、
沙羅の視線が朔夜から
それていかない。
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