モントリヒト城の吸血鬼~一夜話~
「ね、朔夜、食べてみて。
凍夜も沙羅も何食べてもわたしが
作るのはおいしいっていうのよ。
あなた味覚がいちばん当てに
なるんだから、お願い。」
「朔、聞いてるの?
キミ、いい加減、
僕と姫乃の事に口を
はさむのやめてくれる。」
「朔夜様、ぼんやりして、
どうかしたの?
…もしかして、わたしの風邪、
うつっちゃった?」
ようやく朔夜の様子に気付いたのは、
義妹の沙羅。
「あら。今度は朔夜が引いたの?
沙羅に移し返さないように
気をつけてね?」
「姫乃に移したら承知しないよ。」
そんな沙羅の質問に、先ほどまで
自分の用件のみにしか関心の無かった
凍夜と姫乃が乗っかった。