モントリヒト城の吸血鬼~一夜話~

「ていうか、体調悪いなら
部屋で休んだ方がいいわ。
ね?今、何か身体によさそうなもの、
つくるわね、朔夜。」

「姫乃、キミ、午後はぼくと
庭で散策する約束だよ。」

「わかってるわよ、もう。
すこし遅れるくらいいいでしょう?」

「よくないよ。僕との時間が減る。」

「あなたねぇ…!大事な弟が
弱ってるときぐらいちょっとは
我慢して、もうっ!」

「別に、看病が必要な状態では
ありませんよ。
風邪なんて、ひいていませんから。」

「本当に?凍夜なんかに
遠慮しなくていいのよ?朔夜。」

「なんかって何。」

「…朔夜様。具合が悪くないなら、
どうしてぼんやりしてたの?」

夫婦喧嘩ぎみの二人のことは
気に留めず、沙羅が心配そうに聞いた。
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