モントリヒト城の吸血鬼~一夜話~

「僕がどう呼ぼうと僕の勝手だよ。」

そう、朔夜が予想した通りの
言葉を返したのは凍夜だ。

「それはたぶんわたしと
沙羅のが移っただけでしょう?」

朔夜、朔夜様、と、馴染みの名が
頻繁に会話の中を行き交えば、
ついつい昔の呼び方に
戻ってしまうこともあるだろう。

「やめてください。沙羅以外に
そう呼ばれるのは気に入らない。」

「そう?じゃあ、気をつけるわね。
朔…じゃない、ノークス。」






そう言って聞きわけよく
姫乃が笑ったのが
半月前のことで。
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