モントリヒト城の吸血鬼~一夜話~

「…名前を…。」

「え?」

「凍夜も姫乃も、この間から何故、
朔夜、と名前を呼ぶのです?
沙羅に許した覚えはありますが、
あなた方には呼ばれる筋合いはない。」

ふたりに向かって不機嫌に
そういえば、
姫乃がとても軽い調子で
笑って答えた。

「…そういえば、そうね。やだわ。
全然気付かなかった。
きっと、沙羅のが移っちゃったのね。」

沙羅は、出会ったときから
朔夜様、と呼んでいるため、
ノークスとは呼ばない。

そんな沙羅が姫乃に朔夜の
話をするときは、
当然全部朔夜の方の名で
語ることになる。
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