幸せをくれた君に
その日は朝からついていなかった。それが正直な感想。


職場につくやいなや、直々に社長室へ呼ばれる俺。

何の用件かは察しがつく。

重い気持ちを抱えたまま社長室のドアをノックした。

「おぉ、待っておったよ」
そう言いながらニコニコと俺を部屋に招き入れるのは白髪頭の初老を迎えた紳士。

このどこか品がある紳士こそ我が社の社長である。

「わざわざ呼び立てて申し訳ない。美馬君、立ち話もなんだから、とりあえず座りなさい」

彼は自分も来客専用のソファーに腰を沈めながら、俺に向かい側へ座るよう合図をする。

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