幸せをくれた君に
彼女の思惑はどこにあるのか。


社長や父親と話ながらも、彼女が俺を見ていることはわかった。


彼女の目は揺るぎなく俺を見つめ、口元には微笑をたたえている。


彼女は今日の相手が俺ということを知っていたのか。

まさか、一度だけの関係の男に会いたいなど思うはずがない。


彼女の狙いは……。



そんなことを考えているうちに、味のないフルコースは終わり、食後のコーヒーが卓上に置かれた頃、社長が口火をきった。


「黒川君、ここは若い二人に任せて、別のとこで飲み直さないかね」


「それはいいですね」


社長の提案に黒川専務は快く応じてみせるが、二人が口裏を合わせていることは見え見えだ。


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